福岡地方裁判所 昭和46年(ワ)1451号 判決
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〔決定理由〕二、右各書面と別紙申立の理由の記載を対比して考えると、前記取引は原告会社札幌営業所と前記訴外会社間になされ、商品引渡及び代金決済等もすべて北海道札幌市または岩見沢市でなされたことが容易に窺われ、また、原告会社の主張によつても訴外会社が不渡手形を出したというのであるから、倒産による後仕末をめぐつて債権者集会等紛糾をかさねているであろうこと及び連帯保証の時期等を考慮すると本訴についても被告両名にそれぞれの言い分があつて簡単には決着をみないであろうことは容易に推測され、したがつて立証の便、これに要する費用等を考えると本訴が札幌地裁で審理されるか当庁において審理されるかは被告らにとつて経済的負担の故に本訴の命運を決することもなりかねないことは経験則にてらして容易に肯認されるところである。ひるがえつて本訴と当庁との関係といえば、単に、前記商品売買契約書第一三条に、訴額一〇万円未満は福岡簡裁に、訴額一〇万円以上は当庁をもつて管轄裁判所とすることに同意するという不動文字による合意管轄の定めがあること、さらに強いて言えば東京に本店を置く原告会社の代表者が福岡市に住所を有する(資格証明用商業登記簿騰本)という、ただ、それだけに過ぎない。
もとより民事訴訟において当事者の合意の尊重さるべきは当然であり、合意管轄の定めに反して民事訴訟法第三一条にいう損害、遅滞を避けるための移送が許されるかについては争のあるところであるが、前叙の如き本訴の特段の性格を考えると移送によつて生ずることあるべき損害、その負担能力における信義公平の要求、訴訟の遅延防止という訴訟公益上の必要からして、これを積極に解すべく、著しき損害と遅滞を避けるため本件を被告らの住所地の管轄裁判所に移送するのが相当である。 (麻上正信)